ひだ・民族文化映像を上映する会 Vol.17

『チセアカラ -われらいえをつくる』


●1974年/57分/自主制作/北海道苫小牧市/1974年教育映画祭優秀賞/1974年東京都教育映画コンクール銀賞/1974年キネマ旬報文化映画ベストテン5
●記念すべき民映研作品の特色の1つである、
「対話体」形式によるナレーション第1作目。


【作品解説】
1972年の春、萱野茂さんら二風谷の人々によって行われた、アイヌの伝統的な家作りの記録である。
家作りには二つの工法があった。一つは、地面に穴を掘り、柱を立て、その上に梁、桁、屋根と組み上げていく工法。もう一つは、屋根をまず地上で組み立て、それを人力で持ち上げて柱をかますチセ・プニ(家起こし)という工法。どちらも屋根の構造の基本をなしているのは、3本の材を結束した三脚状のケトゥンニである。ケトゥンニによる工法を、寄棟造りの原型とみる人もある。
アイヌの家作りは、祈りに始まり祈りに終わる。はじめに敷地にポン(小さな)・ケトゥンニを立て、火をたき、イナウ(木を削って作る祭具)を立て、祈る。そこにいた虫や獣たちの霊を慰めるとともに、この土地を一時貸してくださいという意味をもつ火の神への祈りである。家が完成するとチセ・ノミ(家への祈り)。そこでは、屋根裏にヨモギで作った矢を射るチセ・チョッチャが行われ、材料となった木や草の悪霊を鎮める儀式をする。あるいはチセコロカムイ(家の守護神)を作り東側の柱の後ろに安置する。囲炉裏の消し炭を火の神からいただき、サンペヘ(心臓)としてつけたイナウである。
アイヌの家作りには、アイヌの知恵や自然観をうかがうことができる。そして、それらと密接にかかわったアイヌ語の表現のおも...しろさ。ケトゥンニはそのよい例で、「(自然あるいは神から)私・借りた・木」という意味だという。また、一対のケトゥンニをつなぐ構造材、チセマカニ。「家・開く・木」という意味で、屋根の横ゆれやひずみを防ぐ。他に、屋根の茅をしっかりとおさえるレウェサクマ(曲げる柴)、あるいは棟の雨漏りを防ぐための針を使わない葺き方、ヤイコケメイキ(自ら針を使う)、壁になる茅がすかないようにとめるイトゥリテセ(のばして編む)の方法など、次々と現れる。

ゲストプロフィール
惠原詩乃さん。伝統的な歌・踊り・楽器のパフォーマンスやアイヌ文化を楽しく伝えるワークショップやイベントでのMC、北海道の森の中でのアート展の企画・運営など、活動は多岐に渡る。
ムックリ(アイヌ民族に伝わる口琴)の演奏には定評があり、ニュージーランドのマオリ族を交流訪問した際には、現地の音楽祭で観客を湧かせた。2014年1月、日本口琴協会定例会出演。同年8月、第8回国際口琴大会(ドイツ)に参加など、アイヌ文化を様々なかたちで表現する。
  

 

https://www.facebook.com/mineikenhida/

 

12月10日(土) 

19:00~
会費:2,500円(1ドリンク+北海道のおつまみ付き)
※中学生以下無料、高校生半額